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FOXのFIT4カートリッジダンパー オーバーホール

FOXのサスペンションのオーバーホールのご依頼を頂きました。

こういったMTBのオーバーホールに関する事をブログに書くと、

保証期間の過ぎたサスペンションや並行輸入品をネットで購入してどうにもならなくなった人から問合せメールがたくさん来るパターンがあって、

中には正直相手にしたくない人もたくさんいるのですが、

今回の依頼品は日本で販売された正規品のようです。

(それでも中古購入品ですので、持ち込んだお客様に対してメーカーが保証する義務はありません)

ご依頼のフォークは2018年モデルのFOX factoryシリーズ Φ36mmインナーチューブ  

27.5インチホイール用 FIT4ブラダー式カートリッジダンパー搭載モデルになります。

そういやブラダー式ダンパーの分解ってブログにしたことが無かったので

ちょっとお見せしときます。

※工程が多すぎて説明は9割省きます。  

ロワーレッグを外します。

ボトムケーズ内のオイルが少量入っているので捨てます。

今回の本丸はFIT4ダンパーですが、オーバーホール依頼ですので

基本はサスペンションの完全分解がついてきます。

FIT4の前にまずは、簡単な方エア室側の分解です。

フォークのスタンチオンからエアピストンを引き抜きます。

※その前に肩側からエア室のキャップを外しますけど写真無しです。

 

古いスリックハニーが大量に乗ってます。

コレを一旦掃除します。

スタンチオンチューブの内側にも大量にグリスの凝ってますが

右の写真くらいにまできれいに掃除します。

まだ若干残ってますけど、所詮スリックハニーなので

残ってても悪くはないです。

ピストンシャフトの先端の部品を外します。

簡単に書きましたけど、かなりてこずりますよ。

外れたらエア室の底になる部品をスライドして外せるようになります。

内部にあるシール部品(上下二重)を交換します。

※写真ブレブレですみません。

エア室側は簡単で、このまま他のOリングを全部交換しながら逆の手順で組み付けて

終了です。

さて、本題のFIT4ダンパーです。

取り外しは肩の低速コンプレッション系調整ノブを全開放にした状態で外し、

(※ここも簡単に書きますけど色々と・・・)

26mmのフラットカットのソケットでトップキャップを緩めて

上から引き抜くとそのまま全部抜けてきます。

※これも簡単に書きますけど、フラットカットの26㎜ソケットなんて売ってません、

肩の六角形も無茶苦茶掛かりが薄いので中途半端な工具でやると確実に壊します。

 

ほい、コレがFIT4カートリッジダンパーです。

オイルに外気が混じらないようにゴム風船のようなパーツでダンパーが密閉されています。

今更ブラダーの説明しなくてもいい人もいるでしょうけど、

MTBやってない人には新鮮にうつる人もいるかと思います。

因みに、昔のサスみたいに気泡交じりのオイルがダンパー中で循環される

方式をエマルジョン式と言います。

ハイッ!

ムッチャクチャ省いてブラダー部分分解です。

中のオイル(FOXのテフロン入り5wtオイル)を捨てます。

オイルが白く濁っているのがテフロン入ってる証拠なんでしょうか?

 

次にダンパーシャフト底のリバウンド調整機構関連のパーツを外すのですが、

火であぶって、ロックタイトを溶かして作業しろと公式に指定されています。

正確にはバーナーで2~5秒炙れとありますが、ウチは無いので100円チャッカマンでやりました、意外にイケます。

外れたらFIT4カートリッジの底になるパーツの交換が出来るのですが、

FIT4オーバーホールに必要なパーツが全部入ったリビルドキットに

このパーツはそのまま入ってます。

このパーツ自体も分解できそうな気がしますけど、わざわざできた状態で入ってるという事は、プロショップにも触らせたくないという事だと思います。

有難く、そのままスポッと交換させてもらいます。

 

トップ側のコンプレッション調整系部品も全分解、掃除

Oリング総取り替えです。

細かいパーツ多いので緊張しますね。

FIT4カートリッジを組みなおしていきますけど、

殆ど写真がありません、必死すぎて余裕が無かったんだと思います(笑)

いきなり組みあがってますけど、組むのはいいんですけど、

このブラダー内のオイルからエアを抜く作業が大変、

どう大変かと言うと、

やめ時が分かりづらい、

気泡が抜けた分シリンジ内のオイルがダンパー内に代わりに入っていくのですが

凄ーくゆっくりなので時間がかかりすぎる・・・

この方法で正解なんだと確信が持てるまでに、結構時間がかかりました。

 

エアが抜けたら

低速コンプレッション調整ダイヤルの下に配置されている細かい部品の

組付けです、この部品がブラダーの上の蓋の役割も兼ねています。

 

コレができたらFIT4カートリッジのオーバーホール完了と言っていいわけですけど、

この地味な作業が、ぶっちゃけラスボス級の難易度です。

全体通して一番苦戦しました。

※発狂マシーンですわ、ホンマ・・・

ダンパーサイドに戻して26㎜フラットカットソケットで締めて終了です。

 

ロワーレッグのダストワイパーとフォームリングも新品に交換します。

(右側?何で見てるかによっては下側の写真、よく見ればダストワイパーの圧入が甘いです、正確にはもう1㎜程深く圧入するのが正規の位置です、この後修正しました。)

 

ロワーレッグをスタンチオンに差し込んで終了なのですが、

ボトムの穴から潤滑用のFOX 20wtゴールドオイルを入れます

ダンパー側:40㏄

エア室側:10㏄

だったかな?

 

完成です!

”なるほど、自分で出来そうだ”

と思った一般の方は、このブログのようないいかげんなモノでなくて

FOX Racing Shox本国のサイト内の

こちらをみてやってみたらいいと思います。

絶対お勧めしませんけどね(笑)