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Transition SPURオーバーホール フレーム・ホイール編

TRANSITION SPURのオーバーホール最終日はフレームや車体周りになります。

とは言え、ヘッド周りは初日で終わっているので実質は上の写真で写っている範囲が主です。

フルサスバイクは各リンクのピボットにベアリングをはじめ様々な細かい部品が入ってますのでそれらの確認、後はホイールに関する事、其の他普通の自転車のオーバーホールでもあるような消耗品のチェック等で全部の工程終了となります。

 

リヤサスユニットとメインフレーム、スイングアーム、3つの部分をつなぎ

リヤユニットを実際に押す役割も持つリンクパーツです。

ココだけでも4つのベアリングが使われています。

ここのベアリングは全部全く問題ありませんでした。

シールを開けて古いグリスを洗い流し、新品グリスに詰め直します。

因みにウチで使ってる青いグリースはクリスキングのヘッドに使われている

ブルーグリースを使ってます。

 

 

今回のオーバーホールで見つかったというか、以前から調子が悪いとわかっていたメインピボット右側のベアリング、誤魔化して延命させていたんですが、今回は交換します。

今回の為に購入したUNIORのベアリングプーラーです。

ペアリングプーラーっていろんなタイプがあるのですが、今回購入したスライドハンマー方式は今まで持ってませんでした。

因みに誉自転車にとっては高価な工具です、何回も使わないとペイできません。

皆さんお仕事ください(笑)

「ハイ、抜けましたー」

って言葉で書けば簡単ですが、専用工具があっても不安になるくらい固かったです。

 

 

負荷のかかってない状態で少しコリコリとした感覚が伝わる程度でも圧入された負荷のかかった状態ではゴリゴリした回転になってしまいます。

 

NTNの同じ品番のベアリングに交換して圧入し直します。

この後、ピボットを全部元通りに戻してフレームの方は完了です。

 

さて、ホイールです。

タイヤインサートの入ったタイヤを外すのって大変です。

「そんなことないだろ」という方やってみてください

ホンマ外れんですよ。

一年ぶりに開けたタイヤ内はもう液状のシーラントは全く残ってないです。

出来る限り掃除して新しいシーラントを入れます。

 

インサートに穴開け加工をしたのですが、以前このインサートを初めて入れて

空気を入れた時シーラントが逆流してくるという問題があったんです。

シーラントがタイヤ全体にいきわたるようにするためにも、インサートの性能に影響がない程度に何か所か開けてます。

DT SWISSのスターラチェットも一旦掃除してから専用のグリースを塗って組み直します。理解しやすいシンプルな構造で頑丈、工具をほとんど使わずにメンテナンス可能。

正直”エモさは0”ですが工業製品としてみた時、1番お勧めできるブランドの一つです。

唯一の欠点はラチェットのエンゲージポイント数の少なさくらいですかね、これもロード系の人には気にならないかもしれません。

 

最後は普通の点検、状態の悪くなってるシフトワイヤー交換や、チェーンの伸びの確認。

 

これで3日かかりのオーバーホール作業は終わりです。

けっこう大変なことわかっていただけたと思います。

費用もそれなりにいただく作業になりますが、せっかく購入した高価なフルサスマウンテンバイクを気分よく使い続けるためには、ある程度必要な費用があるということもわかっていただけると思います。

 

今回、作業後のお客様の感想としてはフロントサスの動き出しが格段に良くなったそうです。

違いを感じ取っていただけたことは、すごく嬉しいですね。

ちゃんと乗ってくれている方とはそういう話ができてやりがいを感じます。

 

オーバーホールには新車整備の時に修正しきれなかった組付けの個体差や、納車後の乗り手の使い方で生じた偏った消耗などを一旦リセットし、本来の性能に戻す効果があります。

新車購入バイクでも「このサスってこの程度なの?」と性能に疑問を持っている方は、少し使い込んだあとでやってみたら本来の性能を取り戻せるかもしれませんよ。

 

新車の時は大丈夫だったとしても私のように、使い込んでいくうちに愛車のリヤスイングアームが動く時にどこからかパキパキ音がするようになったという方は特にお勧めです(笑)。

私も近いうちにやらんとホンマにまずい💦