時々、届くメールでの問い合わせに多いのが、MTBのサスペンション修理に関する問い合わせ、特にメーカーの保証期間が過ぎたものが多いです。
ユニットを買える人にとっては
「そんなもの買い替えろ、その方が安全」ってとこでしょうけど、そうもいかない人も多いみたい。
さて、今回のはROCKSHOXのARIO、
現在のラインナップにあるMONARCHの前身ですね。
2011年モデルのマングース・テオカリについていたものということですので、
このユニットも同年モデルなんでしょう。
ARIOなら2年ほど前にもOHしたことがあるので、大丈夫と思っていたら
この2年の間に少し問題が発生してました。
どうやらRS代理店のダートフリークでは、2012年モデル以前の補修部品をもう持っていない。
つまりもう保障する気が無いということみたいです。
2020年のダートフリークのカタログからはARIOのサービスキットが無くなっています、在庫ももうないようです。
サービスマニュアルのダウンロードもできません。
ですが、今回のARIOに関しては前回の時に、肝になる部分のデータは取っておいたので、多分イケるだろうと思って、受け入れしました。
お客様から聞いていた状態では、
・エアを入れてもストローク部分が伸び切らない。
・ロックアウトの効きが悪い
という事でした、実際にこちらに送っていただいてのチェックでも
お客様のおっしゃる状態の確認ができました。
実際分解してチェックしていったら、ある部品の位置設定がおかしいことがわかりました。
原因は私にもわかりません、ですがとりあえず
・内部パーツの洗浄
・Oリングの交換(目的ごとに選定し、汎用品で対応)
・問題の部品の位置を適正位置にセットし組みなおし
以上を行いました。
エアを入れてもユニットが伸びてこない原因はここまでの作業で解消できています。
あとはロックアウトが効きにくいという問題の方です。
オイルダンパー内のピストン先端に上の写真の右に写っている灰色の円盤が付いていて、ロックアウトレバーをロック位置にしたらこの円盤が上がり、ユニットが収縮したときにダンパー内オイルが下から上に逃げる穴を塞ぎます。
これがロックアウトです。(この年のARIOはこういう構造で、その他のモデルは多少の違いはあるかもしれません)
コレがそのオイル流路付きのピストンです。
残念ながら、壊す危険性なく安全に分解できたのはここまでです。
内部に関するマニュアルもなく、補修部品が二度と手に入らない状態では、ここから先は手を出すべきでないと判断しました。
中心のシャフト内の異常がロックアウトが効きにくい原因ならもうしょうがないのですが、ロックアウトの構造と、上でも書いたオイルダンパー内の部品の位置がおかしかった時点で、ココには原因は無いと90%くらい思っていました。
開けたのは、あくまで残り10%の確認の為だけです。
結局すべての原因は、一つの部品の位置が狂ったのと、その部品を下から支える空気圧がおかしかったのだと思います。(空気圧が低下したから位置が狂ったのかも)
一応ロックアウトレバーついているシャフトも抜いて点検してみると
表面のアルマイトとその下のシャフ自体まで達する使用に伴う摩耗がありました。
使われた年月を考えればここが無傷の方があり得ません。
こうなる方がいたって普通。
ただ、この部分はこうなってもロックアウトが効かないという方向にはならないと思います。
一応金属パテを薄っすら盛って、乾いた後少しだけ表面を擦っておきました。
正直あまり効果には期待してませんが、何もしないのも・・・・って気がしましたので。
はい、完了です!
って書くだけならこれだけですが、実際は使用できるOリングの選定やら、その買い出しやらここには書かない手間がかかってます。
バラす手順の中で色々と注意しなければいけない点や、特殊工具、専用工具もあります。
ユーザー様自身ではされないようにした方がいいと思います。
アリオはもう全機種パーツが手に入らなくなってしまいましたが、2012年からのモナークは今のところ補修キットが手に入りますし、サービスマニュアルもダウンロードできます。
使用されている方は、今のうちに一度OHしておいた方がいいのかもしれません。
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