カスタムした愛車、大切にしていますか?スポーツサイクルのヘッドセットの調整、実は見落とされがちなポイントなんです。お客様の自転車をお預かりすると、ヘッドセットにガタが残ったままの状態がよくあります。そのまま乗り続けると、乗り心地が悪くなるだけでなく、大切なフレームやパーツへのダメージにも繋がるかもしれません。
ヘッドセットのガタとは?
ヘッドセットのガタとは、ステム(コラムスペーサー含む)とヘッドセットの間で微妙な振動や遊びがある状態のことを指します。この状態では操作性が悪化し、ライディングの安全性にも影響を与える恐れがあります。
何故今更こんなこと解説ブログにするのか?
お客様自身でカスタムされてるバイクをお預かりした際、あまりにもガタがとれていないバイクが多いからです。
特に誉自転車でわざわざヘッドパーツをカスタムしてるバイクの場合、クリスキングやホワイトインダストリーズなどの高級品を入れている人が多いのですが、ガタが残っていると安物以下の価値しかないヘッドを入れているのと同じになりますし、そもそもヘッドパーツに仕事をさせないばかりか、せっかくの高級パーツを壊してしまうことになりかねないからです。
① 一見しっかり固定されているステムまわり

📌 状況
上の写真は実際にお客様がバイクを持ち込んだ時のヘッド、ステム周りの写真です。
ぱっと見は問題なさそうでも、ブレーキをかけた状態で車体を前後に揺するとヘッド周りにガタが出る…
🔍 可能性のある原因
- ヘッドセットベアリングにプレロードがかかっていない
- トップキャップが十分な圧力をかけられていない
- ステムやスペーサーとコラムの位置関係の問題
お客様持ち込みのバイクでヘッドのガタがある場合ほぼほぼ、うえの3つの原因のうち
3番目のせいで1番目が起こっているというのが大半になりますね。
※実際この時もその状態でした
② ガタつきの原因は「コラム長さとスペーサーの高さ」

📌 状況
ステム+スペーサーの合計高さがコラムの突き出し量と“面一”になっており、トップキャップの段差が受け面に当たらない状態。
⚠️ この状態ではガタは絶対に取れない!
- トップキャップ裏の段差がステム上面に密着しない
- プリロード(初期負荷)がベアリングに伝わらない
- 締めても“空回り状態”になってしまう
お客様が狙ってしたわけではないけど、ヘッドスペーサー+ステムの高さの合計がヘッドパーツから上のコラムパイプの長さとほぼ同じで面一になってるんです。これが面一とかコラムが突き出ちゃうとどんなにステムを下側に押し付けた状態で締めて固定してもガタが取れることがないんです。
基本的にヘッド付属のステムキャップの裏にはもっとも外周に1mm程度の段差があります、この段差の部分がぴったりステム上面または、ステムから上にコラムスペーサーを配置した場合はその上面にはまって上からの初期負荷(プリロード)をヘッドパーツのベアリングに伝えない限りガタは発生します。
③ ステムキャップ段差が正しく機能していない状態

この写真は面一状態でトップキャップを締めて、その状態をステムの横から見た写真です
段差がステム上面にぴったり当たっていないため隙間ができているのがわかると思います。
🔩 ヘッドパーツのガタの根本メカニズム:段差の“接触”がキモ!
- ステムキャップ裏の1mmほどの外周段差は、単なる形状ではなくプリロード伝達の要所。
- この段差が、ステム上面またはスペーサー上面にぴったりフィットしない場合、トップキャップを締めても力が逃げてしまい、ベアリングに圧力がかからない。
- つまり段差が“はまる”ことで、初めて軸方向の力がベアリングに伝わる → 適正なプリロード → ガタなし!
🔧 写真に映る「隙間」が示していること
- ステムの横から見たその画像は、段差と受け面の接触不良を如実に示していますね
- これにより、キャップが“浮いている”ような状態 → 締め付けしても空回り気味 → ガタ発生
④ 正しいコラム長とステム・スペーサーの位置関係

✅ これが正解!
コラムの上端がステム(ステムより上にスペーサーを配置した場合はその上端)より2〜3mm程度低い
🔧 この位置関係が“正解”である理由
- コラムパイプの上端がステム上面よりわずかに下がっていることで、トップキャップが段差にしっかり乗り、プレロード(初期圧力)をベアリングへ正しく伝達できます
- コラムとステムの接合面に数mmの沈み込み(2〜3mm程度)があるのが理想的。これにより、トップキャップの中央ボルトを締めると、段差がステムやスペーサーと密着して“引き込み力”が発生し、ガタを防ぎます
- スペーサーが入っている場合も、最上段スペーサーの上面とステム上面の高さが揃っていて、段差がその面にぴったりフィットしていると完璧です
✍️まとめと調整ポイント
🔧 ガタを防ぐための3ステップ
- コラムの突き出し量をチェック(ステム+コラムスペーサー上面より2〜3mm下)
- スペーサー構成を調整して段差をしっかり受けられるようにする
- トップキャップを締める前にステムボルトを緩めておくことを忘れずに
どうですか、ヘッド周りのガタの取り方わかってもらえたでしょうか?
一見シンプルで簡単そうなことでも、手順や確認するべきことはあるものです。
皆さんがご自宅で自転車を整備するときのお手伝いになればいいと思います。
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