
今回の整備は、いつもお世話になっているお客様から「リアキャリパーのピストンの動きが片側だけ悪い」とのご相談を受けたところから始まりました。
実はこの不具合、お客様ご自身でなんとか直そうと試みたそうなのですが、その際にピストン周辺からDOTオイルが漏れてしまい、状況はさらに複雑に。
バイクは3年前にも整備させていただいたインディペンデント、SRAM油圧ディスクブレーキ仕様の非常に貴重なカスタム車。久々の再会です。

当初はピストンの動き不良や油漏れを起こした事に対する対応として、ブリーディングや清掃で改善を試みる予定でした。
しかし、いざ作業を開始してみると、キャリパーにさらなる問題が見つかり、結果的にキャリパー本体の交換が必要となりました。
SRAM製品はどうしてもシマノより高価で、国内問屋に在庫がないと納期が長くなるのが悩みどころ。
今回は幸運にも、Many’sさんに在庫があり、すぐに手配できました。

こういうタイミングの良さも、整備の流れを左右する大事な要素です。
“今すぐ対応できる”という安心感は、お客様にも整備者にもありがたいものです。
SRAMの油圧ディスクブレーキには、専用のブリーディングエッジツールが必要。
この工具、実はうちではほとんど使う機会がなく、前回使ったのもこのバイクでつまり3年前。
それでも、こうして再び活躍の場があるのは嬉しいことです。
(※幸いそんなに高価な工具ではないです)

作業性は抜群で、フルード漏れもなく、スマートにブリーディングが完了。
“持っててよかった”と思える瞬間でした。
📸 作業途中の写真は…ありません(笑)
SRAMのブリーディング作業はどうしても両手がふさがってしまいます。
片手で注射器を操作し、もう片方でブリーディングエッジ側のシリンジを扱うので、カメラを持つ余裕がまったくないんです。
さらに今回のような貴重なカスタムバイクでは、DOTオイルの扱いにも神経を使います。
このオイル、塗装への攻撃性が強く、うっかり垂らしてしまうとその時は何ともないように見えても
時間の経過と共に悲劇的なことに…。
そんなわけで、作業中は完全に“全集中”。
気がついたら、写真を撮るタイミングをすっかり逃していました(笑)

作業は無事完了。レバータッチも良好で、仕上がりも上々。
今回の整備は、工具・技術・集中力の三拍子が揃った一日でした。
3年前に整備したこのバイクが、またうちに来てくれたこと。
そして、専用工具が再び活躍したこと。
こういう瞬間が、整備者としての喜びでもあります。
また次回、どんな再会があるのか楽しみにしています。
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