誉自転車が暇な時に書くシリーズ”誉自転車のお仕事”
36回目になる今回は、上の写真の自転車”BRIDGESTONE MOULTON”の修理です。
ブリジストンモールトンってご存じでしょうか?
僕はあんまり詳しくありませんでした。
因みにWikiによると
ブリヂストン・モールトンは、アレックス・モールトンの第1世代型のデザインを踏襲し、アレックス・モールトンと日本のブリヂストンサイクル株式会社の共同開発による、17インチ小径タイヤを履いたスポーツ自転車。
1990年代後半、小径ホイールの自転車に可能性を見ていたブリヂストンサイクル株式会社は、自社製品にプレステージ性を与えるブランドを考えていた。そして各社の自転車を研究していたモールトンは、ブリヂストンサイクルの自転車に興味を持ち、また自社でも超高級自転車とは違った方向性も模索していた。ここで接触の機会を持った両社は1999年にかつてのシリーズ1を現代の技術で改良して蘇らせることで合意し、両者の共同開発で「ブリヂストン・モールトン」が誕生した。
これのパンク修理という話でお預かりすることとなったのが、去年の9月。
いざお店で見せていただくと、パンクではなく、完全にバーストしてて
タイヤもチューブも使い物にならなくなってたんですね。
そこで問題があったのがこのアレックスモールトンだけの為の規格
WO規格17インチのホイール、”ETRTO369×17C”なのです。
そんな規格が存在する事すら知らなかったのですが、調べてみると
2025年9月時点でタイヤを製造しているのはSCHWALBEのみ
モデルもKOJACKだけという事でした。
この時点の問屋の話では、「現在日本に在庫が無く、取り寄せには何か月もかかる」
という話。
他に修理手段が無いので、お客様にその旨連絡し、
入荷してくるのを待つことになります。
ココから問題から大問題へと発展するのでした・・・・・
動きがあったのが今年に入って2月の後半の事、
この時点ですでに注文から5か月待ってのことになります。
問屋さんから電話がありまして、やっと入荷か!?
という話かと期待していたら
その内容は
「SCHWALBEのKOJACKの17インチが生産終了になりました、もう入荷することもありません」
という連絡・・・・。
今更困るよ、何とかならんのか?という事で
日本中のアレックスモールトン取扱店や総代理店的なところに
電話して、KOJACKの17インチを持っていたら買い取らせてほしいと連絡してみたのですが
その全部の店から、「在庫はもうない、私たちも突然の事で困っている」との返事。
その時に聞いた話でも、
「日本の問屋がもう取り扱いたくないだけで、本国ではまた作っている」
「いや、本国でも本当に生産が終わっている」
「待っていればまた生産するはず、でもいつかはわからない」
等など、人や店によってみんな言う事様々で情報が錯そうしている状況。
わかっていることとしては、”待っていても埒が明かない”という事だけ。
1か月程の間、情報収集しながら出した結論として
ETRTOで最も近いHE規格の18インチ(ETRTO355)リムで
ホイールを組みなおすことです。
その差は、直径で14mm違うだけなので車高でいえば7㎜下がるだけ、
何とかなるだろうという唯一の希望です。
お客様には、この方法だけしか望みが無い事を伝え
ご理解いただいた上で段取りを始めました。
という事で、必要なリムとタイヤ、チューブを取り寄せました。
HE18インチのリムでロードやクロスぽい細めのリムというのも
選択肢あまりないみたいですが、無いわけでもない。
対応するタイヤは幸いいくつかあります。
元の17インチホイールをばらし、流用するハブを取り出します。
スポークは短くなりますので、計算値の長さに作り直します。
組みなおしたホイールです。ポリッシュシルバーのリムにしたので高級感も出ました。
組み付けて見たのですが、ここで今度はブレーキシューの位置を限界まで下げても
タイヤにあたるという問題が発生します。
オフセットブレーキシューを取り寄せるのが一番正しい対処法でしょうけど、
もうすでにお客様には予定外の出費をお願いしていることもあり、
ブレーキシューの上の方を問題ない程度削り落とすことで対応しました。
シマノのミニベロ用のコンポーネント カプレオ?っていうのですか
トップが9Tでロックリングが特殊なんですね。
これを外すのは専用の工具が必要でしたが、
幸い今回のお仕事で、ここが最後の障害でした
今でも工具は手に入りますので難なくクリヤ。
あまりにイレギュラーなことが多く、
気がつけば約10か月もお預かりすることになってしまった今回の修理、
私としてもかなり勉強になりました。
ご依頼有難うございました。
こんなに長く時間がかかってしまい申し訳ありませんでした。
最後にすべてのお客様に知っておいてほしいことがあります。
”その自転車だけが採用する特殊な規格、設計、専用部品”等で構成されている自転車は、
買った後、長く使う間にいつか修理不可能になる時が来ます。
それは、”ちょっと他と変わった物”がもつ宿命的なものです。

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